大波乱となった2024年衆議院選挙後の株式市場はどうなる?
「The・R」スタッフの金井です。
2024年10月27日に衆議院総選挙が行われましたが、その結果は「大波乱」の3文字でしか表せせないような結果になり、今後の政局は大きく変化することは間違いありません。
衆議院総選挙後の日本の株式市場はどうなるのか、今後の株価に影響を与えるであろうトピックとともに解説します。
この記事で分かること
衆議院選挙の結果、与党は議席を大きく減らし過半数割れに
ただし政権が大きくひっくり返ることはないだろうというのが投資家の見通し
投資家たちは衆議院選挙以上に11月5日に控えているアメリカ大統領選挙の行く末に注目している
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与党にとって逆風だった選挙
日本国内の選挙は、ほとんどの場合結果が出る前からすでに大局が見えている状態であり、実際の選挙結果もそれに準ずることが多く退屈なものであることが多いです。
投票率の低さが度々問題になっていますが、その背景には「結果がわかりきっている退屈な選挙である」ことも影響しているのかもしれません。
しかし、今回に限ってはこれまでの選挙とは大きく異なり、今後の行く末の見通しが立たない結果となりました。
大波乱の結果に大きく影響を及ぼしたのが、2023年に発覚した政治献金問題です。
この問題は当時大臣の立場にあった自民党の幹部候補複数人が責任を取って幹部を辞任する事態となるほどでした。
現在も渡したい国民の多くがインフレによる物価高騰と物価高騰を上回るほど上昇しない給料で苦しい生活を続けています。
そんな中、自民党議員は政治献金パーティーで集めたお金の一部を報告することなく懐に入れていたことに、国民の怒りは爆発しました。
選挙前、与党は「議席は減らすことは間違いないが過半数を獲得を目指す」と目標を掲げていましたが、蓋を開けてみれば自民党と公明党の与党2棟の合計議席数は215議席で、過半数である234議席を大きく割り込む結果となってしまいました。
裏金問題に関与していた議員がかなりの人数落選したのに加え、当時公明党の代表だった石井啓一氏が落選するなど、与党に対しては厳しい審判が下される結果となり、今までのように与党が同意してくれれば法案は通るといった状況にはならないことは明らかです。
不正をしたわけですから、落選は当然の報いですよね!
勝者のいない選挙
自民党が大きく議席を減らした代わりに野党は大きく議席を伸ばすことになります。
与党第一党の立憲民主党は98議席から148議席と50議席増加、野党を合わせると衆議院の議席数は過半数を上回っており、自民党に投票していた人の多くが立憲民主党に流れたことが結果からも明らかです。
とはいえ、自民党は191議席確保と立憲民主党と比べるとまだ40議席以上上回っており、完全な政権交代とは言い難いというのが実情でしょう。
立憲民主党に流れた人たちの多くが明確に立憲民主党に投票しようという気持ちではなく、汚職まみれの自民党議員には入れたくないという気持ちから、消去法で野党第一党である立憲民主党に投票したという人が多いと考えられます。
投票者の心理などを踏まえると、明確な勝者がいない選挙といえるでしょう。
野党には与党の揚げ足取りではなく、
自分たちの政策を主張してほしいと思っている人が
多いのではないでしょうか。
早々に解散総選挙をしたのが裏目に出た
裏金問題に端を発する自民党に対しての不満の高まりからくる支持率の低下を受けて岸田文雄お元首相は退陣し、石破茂氏が自民党総裁、そして総理大臣に就任しました。
石破氏が選出された理由のひとつには、国民からの人気が高いことが挙げられます。
実際に石破氏が首相に就任した瞬間は支持率が上昇しました。
更に立憲民主党がほぼ同時期に代表が交代したことから、自民党側は「野党の足並みが揃っておらず、支持率が上がった今のうちに選挙をすれば勝てる」という目論見を立て、石破氏は総理大臣に就任後すぐに衆議院を解散した結果、今回選挙が行われたというわけです。
自民党としてはある意味賭けでしたが、その賭けは結果を見れば大失敗に終わりました。
自民党は国民の怒りを甘く見ていたと言ってよいでしょう。
選挙前までの株価の推移
株式投資の一般的なセオリーのひとつに、「選挙は買い」というものがあります。
これは選挙前は株価が上昇する可能性が高いため、選挙が始まった時に株を買っておけばかなりの確率で株価が上昇して利益を得られることを示したものです。
実際、日経平均株価は衆議院選挙の選挙期間中、株価は上昇していることが多く、過去のデータからもこのセオリーは正しいことが分かります。
選挙中に株価が何故上昇するのかというと、票を確保するために各政党は経済政策を積極的に訴えるからです。
経済政策が提示されると、企業の業績アップや景気が上向くことを期待して投資家が積極的に株を買うため、相対的に日経平均株価は押し上げられます。
ところが今回の選挙は、選挙前から今までの選挙とは大きく様相が変わっていました。
政治献金問題などで与党である自民党に逆風が吹くのは明らかであり、選挙後に政権がどうなるかが全く分からないといった状況でした。
政権がどうなるか分からないと、各政党が掲げている経済政策のうち、どの政策が優先して推し進められるのかが分かりづらいです。
そのため積極的に株を買うという動きはあまり見られず、選挙期間中は不安定な値動きを続け、日経平均株価は10月15日に39,910円となって以降徐々に下落し、選挙直前の00010月25日には日経平均株価は37,913円と、10日で2,000円近く値下がりしました。
「選挙は買い」というセオリーだけを鵜呑みにして何も考えず株を買っていた人は、損をしている可能性が高いです。
株を買うにはセオリーに流されず政治の情勢を注視しなければならないことが今回の事例を見るとよく分かります。
一夜明けて株価は反発
衆議院選挙の結果は冒頭に触れた通りで与党は大敗して過半数割れを起こし、野党第一党である立憲民主党は大躍進しました。
与党が過半数を維持するかどうかというのが大方の予想なので、与党の議席減は予想を少し上回る結果といえるでしょう。
では衆議院選挙から一夜明けた月曜日の日経平均株価はどうなったのでしょうか。
2024年10月28日の日経平均株価は、取引開始直後は売りが先行して一時的に下落したものの、その後は反発して上昇、上げ幅は一時期800円以上となるなど、ほぼ全面高の展開となりました。
結果、25日の終値から約691円高い38,605円で取引を終了しています。
市場関係者は世間の予想より更に一方悪い予想をしている人が多く、「自公政権の枠組みが崩れるのでは」という予想をしている人もいました。
しかし、自民党は大きく議席を減らしたものの、立憲民主党よりは多く議席を確保したため、自公政権の枠組みは維持できるだろうという見立てから買い注文が増えたのが、株価が上昇した要因のひとつになっています。
衆議院選挙後、株価の推移に影響を及ぼす3つのトピック
衆議院選挙直後はそれまで値下がりしていた株価が上昇に転じましたが、この上昇はあくまでも一時的なものであり、今後も株価が上がり続けるかは不透明です。
今後の株価がどうなるかは政治情勢を引き続き注視しなければなりませんが、今後の株価に影響するであろうトピックを3つ紹介します。
石破首相の進退
もっとも注目すべきトピックは、石破首相が総理大臣を続投するかです。
石破首相自身は総選挙後の記者会見で「総理としての職責を続ける」と続投の意志を明らかにしています。
しかし元々石破首相は麻生元副総理とは犬猿の仲だったり、高石早苗氏をはじめ、入閣のオファーを断る議員がいるなど、その基盤は盤石とはいえません。
今回の結果を受けて、退陣に向けた動きが活発化することは否定できないでしょう。
石破氏の後任が誰になるかですが、現状では高市早苗氏がもっとも有力視されています。
高市氏は国民からの人気も高く、何より就任すれば史上初の女性総理大臣になることを考慮しても、支持率はかなり高まるでしょう。
また、高市氏は景気重視の政策を掲げていることから、就任すれば株価にとってはプラス材料となります。
自公に加わり連立与党となりそうな勢力
自公だけでは過半数に達しないことから、自公に加えて新たに連立与党として加わりそうな勢力を模索する可能性が高いです。
立憲民主党は野党第一党として大躍進を遂げたため、自民党・公明党の与党に加わる可能性はゼロに近いです。
となると、与党が連立への加入を打診するのは日本維新の会または国民民主党のどちらかとなるでしょう。
特に国民民主党は今回の選挙で7議席から28議席へと議席数を大幅に増やしています。
今のところ、両党首とも与党との連立政権を組むことは否定していますが、与党に加われば、自分たちが推し進めたい公約を実現させられる可能性が出てきます。
今後の交渉次第では、連立与党に加わる可能性もゼロではありません。
連立政権が拡大した場合、国民民主党や日本維新の会が掲げる経済政策も、株価に影響を及ぼすでしょう。
連立与党が拡大して政権が安定するか
3つ目のトピックは連立与党を組めるかどうかです。
現状、日本維新の会も国民民主党も与党に加わることはないと明言しています。
連立与党勢力として加入してくれる政党がいなかった場合、自公勢力は少数与党になります。
自公合わせても過半数には達しないため、与党が立てる政策が国会を通るまでにかなりの時間を要する可能性が高いです。
経済政策においても同様で、自公が掲げた政策に対して野党が疑問視するようならば、否決されて実行されることはありません。
遂行能力の観点で投資家たちが不安を感じるようならば、積極的な取引を控える動きが強まり、株価は値下がりすることが懸念されます。
円安株高になる可能性は低い
2024年は歴史的な円安・株高が進行し、円は一時160円台、株価は40,000円を大きく超えて過去最高を更新しました。
政権に大きな動きがあると、再び大幅な円安株高に働くのではと懸念する人もいますが、政権に変化があっても円安株高が一気に進行することはないでしょう。
160円を超えるような円安になると私たちの生活にも大きく影響し、世論の反発によって支持率が大きく低下することが懸念されます。
そのため誰が首相になっても、どんな与党になったとしても、度を超えた円安を放置せず、何らかの対策は立てるはずです。
そして日本の経済政策に大きな影響を及ぼす機関に日本銀行がありますが、日本銀行の植田総裁の任期も2028年までと、まだ当分先なので、日銀の政策も大きく変化することはないと考えられます。
今後はアメリカ大統領選挙の行く末に注目
日本の総選挙は終わりを迎えましたが、日本の総選挙以上に株式市場に大きな影響を及ぼすのが、11月5日に実施されるアメリカ大統領選挙です。
民主党ハリス候補と共和党トランプ候補との対決は、事前調査ではわずかにトランプ候補がリードしていますが、その差は無いといっても過言ではありません。
アメリカ市場がもっとも期待しているのは、トランプ候補の大統領就任と、共和党の上下院過半数議席です。
共和党は赤色で示されるので、ホワイトハウスと両院を共和党が制することを「トリプル・レッド」と言い表します。
トリプル・レッドになればトランプ氏の政策が実行される可能性は高いでしょう。
特に株式市場に大きな影響を与えると考えられているのが法人税の引き下げです。
トランプ候補は法人税を15%まで下げると公約に掲げています。
アメリカ経済が活気付くのはもちろん、深いつながりを持つ日本経済もその恩恵を受けるはずです。
アメリカかどのような政策を打ち出すかは、欠かさず注視しましょう。