長期保有で成功するための株式投資ガイド。銘柄選びとリスク対策
ここ数年間の急激な物価上昇や、少子高齢化による人口減少、さらには税負担の増加など、将来のお金に対する不安要素は山積しています。
近い将来、労働による給料だけで自分の資産を増やすことが難しくなるとも言われており、何らかの形で資産運用していく必要があります。
資産運用にはさまざまな手法がありますが、もっとも多くの人が実践しており、なおかつ大きく資産を増やせるポテンシャルを秘めているのが株式投資です。
株式投資はギャンブルのように短期間で利益を狙うものではなく、基本的に長期保有して徐々に資産を増やしていく資産運用法です。
株式を長期保有することで得られるメリットと、長期保有することで生じるリスクについて本記事では解説します。
株式を長期保有するメリットとは?
株式投資に関する書籍や動画などを見ていると、どの解説でも長期間保有し続けることが成功の秘訣だとアドバイスしています。
株式を長期的に保有することで、どのようなメリットが得られるのでしょうか。
複利効果で資産が増える
株式を長期的に保有することで得られる最大のメリットは複利効果が得られる点です。
株価は常に上がり続けるものではなく、時には取引開始後よりも価格が下がってしまうこともあります。
しかし、当分の間経済は成長し続けることが確実視されているので、一時的に値下がりした銘柄であっても、売却せずに持ち続けていれば、たいてい元の価格に戻り、さらに元の価格以上に上昇していく可能性が高いです。
そして株価上昇によって得た利益で再投資することで、配当金や株価上昇の利益が増大します。
株式によって得た利益の再投資を繰り返せば、預貯金などとは比べ物にならないほど、資産を大きく増やすことができます。
短期的な市場変動に左右されにくい
長期保有を意識して株式投資をすることで、短期的な価格変動に対しても感情に左右されることなく冷静に対処できるようになります。
株式投資は長期的に見れば株価が上昇する可能性が高いものの、ずっと上昇し続けるわけではなく、経済状況の変動や株式を保有している企業の業績不振などで一次的に株価が下落することもあります。
短期的な株式投資で利益を得ることを狙っていると、短期的な価格変動に対して敏感に反応せざるを得ません。
ときには不安になってしまい、保有し続ければいずれ回復していたであろう銘柄を売却するという間違った行動に走ってしまうこともあるでしょう。
しかし、長期保有を意識しておけば、眼の前の価格変動に慌てることはなくなります。
あまりにも価格が下落した場合は売却も検討しなければなりませんが、許容範囲の下落幅であれば、いずれ回復して下落前よりも株価は上昇していくことでしょう。
時間を味方につけることは、福利面でも有利ですが、冷静な取引をできるという点でも大きなメリットがあるのです。
配当金を定期的に受け取れる
株式を長期保有しておくことで、労働による収入以外に定期的な収入を確実に得ることができます。
株式投資では保有している銘柄の株価が上昇することで利益を得られますが、それ以外にも企業が株主に対して支払う謝礼である「配当金」によっても利益を得られます。
支払時期は企業によって異なるものの、ほとんどの企業は毎年決まった時期に配当金を支払っており、株式を多く保有しておけば毎年決まった時期に安定した収入を得ることができるのです。
株式投資によって資産を着実に増やしていくことができれば、いずれ株式の配当金のみで生活資金を賄うことができます。
株式投資の配当金だけで生活できるようになれば実質労働の必要がなくなるため、株式を多く保有している投資家のなかには、定年を待たずして退職する人も存在します。
経済的に自立し、定年を待たずして退職することを「FIRE」といいますが、FIREは多くの個人投資家の憧れであり、目標のひとつです。
税制優遇を受けやすい
2024年より新NISAがスタートしましたが、新NISAは長期保有している株式投資に対して税制優遇措置が受けられる制度です。
新NISA以前のNISA(少額投資非課税制度)でも税制優遇が受けられましたが、NISAでは非課税になる金額がそれほど大きくなく、更に非課税期間も20年と限定的でした。
しかし新NISAでは合計1,800万円までが非課税対象となっており、さらに非課税期間も無制限です。
よほど資産が多い人でない限り、当分の間は新NISAの非課税範囲内で株式投資をおこなえることでしょう。
資産運用の手法はさまざまですが、他の資産運用だと、一定以上の収入があった場合は所得税を支払わなければなりません。
所得税の支払が免除されるという面を見ても、長期保有には大きなメリットがあるといえます。
精神的な安定を得られる
長期保有を心がけて株式投資をすれば、精神的に安定した状態での資産運用が可能です。
株式投資で短期的に利益を得るためには、株式を購入してその銘柄の株価の上昇が確認でき次第ただちに売却することで差額分を利益とする、「売却益(キャピタルゲイン)」を狙うことになります。
しかし売却益を狙っての短期投資だと、日々の価格変動を常に確認しなければなりませんし、どうしても短期的な価格変動に一喜一憂してしまい、冷静な判断がしづらくなります。
また、短期的な投資をしていると突発的な不安要素による価格変動による影響が大きくなってしまうのもデメリットです。
しかし、長期的に株式を保有することで資産を増やすことを意識しておけば、日々の変動による短期的な価格変化に振り回されることはありません。
たとえ一時的に保有している銘柄の株価が下落したとしても、下落した原因を冷静に分析して適切に対処できるようになります。
正しく対処すれば一時的に資産が減ったとしてもいずれ回復し、さらに成長して資産は増えていく可能性は高くなるでしょう。
短期的な変動による不安やストレスから解消されるのは長期保有をすることで得られる大きなメリットです。
長期保有に向いている銘柄の特徴
株式を購入する銘柄の選び方は、短期的な利益を目的とするか、長期的な利益を目的とするかで大きく異なります。
ここでは長期保有に適している銘柄に共通する特徴を3つ紹介します。
安定した業績を持つ企業
長期保有を目的とした銘柄選びをする場合、もっとも重要視しなければならないのは、その企業が安定した業績をもっているかどうかです。
突発的な経済変化にも動じないしっかりとした地盤を築けている企業であれば、一次的に株価が下落したとしても、いずれ損失分を相殺できるような回復を遂げることでしょう。
企業の理念や経営方針などを確認して、景気の変動に耐えられるビジネスモデルを持っているかを確認しましょう。
具体的には景気が変わっても常に一定量の消費が約束されている生活必需品を扱っている業種(医薬品・食品・エネルギー関連)に関連する企業であれば景気変動にも強く、長期的には見れば成長していく可能性が高いです。
また、業界シェア上位を占めている企業や、ニッチであっても独占状態の企業ならば市場の変化にも柔軟に対応可能であるため、長期保有に適しています。
配当金を継続的に支払う企業
長期間、配当金を株主に支払い続けていられるかどうかも、長期保有に適した企業かどうかを判断する基準となります。
配当金は絶対に支払わなければならないものではありません。
配当金はあくまでも株式によって集めた資金で企業が運営または設備投資をした結果、利益を得た際にその一部を株主に還元するシステムです。
企業側は利益が縮小すれば配当金の利回りを低くできますし、場合によっては一次的または恒久的に配当金の支払いを停止することもできます。
長期的に継続して配当金を支払えている企業はそれだけ安定した成長を続けている企業であるという何よりの証拠です。
特に配当利回りが高い企業や、配当金を毎年増額している企業は利益が安定しているだけではなく、常に成長し続けている企業であると分析できるため、長期保有する銘柄としてはとても適しています。
配当利回りが高く、毎年配当金を増額している企業の株式を保有して積立を継続すれば、高い複利効果が期待できるというメリットもあります。
市場で強い競争力を持つ企業
企業は常に同業他社と競争をし続けなければなりません。
したがって、長期保有に適した銘柄は、市場において他社に負けない強い競争力を持っているかも重要となります。
競争力が強い企業というのは、同業他社が参入できないビジネスモデルや他社を凌駕する技術やサービス、そしてブランド力を持っている企業です。
他社にない強みを持っている企業は長期的に見ても業績を落とすことなく市場で優位性を保ち、安定した成長が期待できます。
競争力を図るうえで特に注目しておきたいのが、その銘柄の「ブランド力」です。
強力なブランド力を持っている企業は、経済状況が悪化すればするほど顧客の支持を受けやすくなり、同業他社が業績を落としていくなかでも安定した収益を得ることができます。
競争力が強く、常に安定した利益を得ている企業は業界内での優位性を活かしてより資金を集めようと、配当金の利回りを増やしたり、配当金を増額させたりといった動きに出やすいため、長期保有することで福利の効果が大きくなります。
成長性の高い市場や業界に属している
株式の購入を検討している企業の業界が将来的に成長が見込めるかどうかも長期保有に向いているかどうかを判断する基準のひとつになります。
いかにその業界でシェアトップに在籍している企業であっても、その業界自体が衰退傾向にあるならば、シェアトップの恩恵はほとんどないですし、長期的に見れば利益は縮小するので、配当金の増額や利回りアップは見込めないでしょう。
これからの世界の動きを考慮して、将来的な成長が期待できる業界の一例としては、IT関係・クリーンエネルギー関連・医療技術関連などが挙げられます。
少子高齢化が著しい日本に限定すれば、高齢者向けの商品を販売している企業や介護・福祉に関連する業界も成長が期待できるでしょう。
また、これらに関連する市場でいまだ開拓されていない分野にチャレンジし、成果を挙げている企業にも注目です。
新興市場にチャレンジしている銘柄の株価は将来的に大きく値上がりする可能性があります。
早くから注目して株を保有することで大きなリターンが期待できます。
財務健全性が高い企業
長期的な保有に向いている銘柄かを判断する基準として、財務健全性にも注目しておきたいところです。
財務健全性が高い企業というのは、具体的には負債が少ない、キャッシュフローが安定している企業を指します。
企業自体が強固な財務基盤を持っていれば、会社を経営するうえでのリスクを軽減できますし、継続的に配当金を支払ったり、再投資をしたりするなど余裕を持った経営が可能となります。
特に自己資本率が高く、借入金に依存することなく企業自身の資産によって成長している企業は経済の変化にも強く、株主に安定して配当金を提供してくれる傾向が強いです。
財務健全性が高い企業の株式を持つことを意識すれば、長期保有に向いているだけではなく、将来的に見ても株式投資全体のリスク低減に繋がります。
長期保有でも注意すべき市場リスク
株式投資において、長期保有はさまざまなメリットを享受できますが、その一方で長期保有していても注意すべきリスクがいくつかあります。
いくつかある長期保有における市場リスクのなかでも、特に注意すべきリスクを4つ紹介します。
経済の景気循環によるリスク
株式投資は企業にお金を投資して資産を増やすため、景気循環(ビジネスサイクル)にどうしても大きく影響を受けます。
景気が好調なときには株価は上昇していく傾向にありますが、逆に景気が後退したり、不況になってしまったりした場合は株価が大幅に下落する可能性があることは理解して置かなければなりません。
長期保有を心がけて株式投資をしている人であっても、景気変動によって投資している資産の価値が大きく目減りしてしまうリスクに直面することもあります。
株価は一度下落しても長期的に見れば回復しますが、大きく下落すれば持ち株の株価が回復するまでときには数年かかることもあるため、長期保有しているとはいっってもかなり辛抱しなければならないときもあるでしょう。
特に景気の変化によって需要が大きく変動する業界の銘柄を保有している場合は注意が必要です。
業界や企業の衰退リスク
長期保有を心がけて株式投資をするうえで、その業界の先行きを見極めることは極めて重要です。
現時点で成長していたとしてもL10年後、20年後も成長しているとは限りません。
例えば印刷業界は10年前と比べて大きく衰退しました。
将来的には今よりも更に紙面よりもデータによる書類のやり取りが増えていくでしょうから、この業界は成長していくことはないでしょう。
長期保有を目的として銘柄を選ぶのであれば、トレンドに左右される業種よりも、わたしたちの生活に身近な業種を選んでおいたほうが無難です。
インフレによるリスク
長期保有による株式投資をするさいに注意しなければならないリスクのひとつがインフレによる影響です。
インフレが進行すると、物価が上昇していき、消費者は引き締めを行うようになります。
その結果、今までのように商品やサービスが売れないため企業の利益率が圧迫される可能性があります。
利益率が減少すれば株主に支払う配当金や株価にも影響が出てくるでしょう。
また、インフレが進行すると実質的にリターンが目減りするリスクも生じます。
例えば利回り3%でも、物価上昇汁が5%ならば、資産は実質2%損失していることになります。
インフレしている状況ならば、インフレ率を超えている配当利回りの銘柄に変更する必要が出てくるでしょう。
政治的・規制リスク
株式の長期保有では政治的リスクや規制の変化にも注意を払っておかなければなりません。
政府の方針が変更されたり、新たな規制や法律が施行された場合、特定の業種が大きな影響を受けるときがあります。
例えば、古い話になりますが、エネルギーが石炭から石油に変化したことで、石炭関連企業は壊滅的な打撃を受け、多くの企業が倒産、撤退しました。
特に現在成長途中にある新興市場などは、世間に与える影響が未知数であり、場合によっては政府に大きな規制をかけられる可能性があります。
新興市場は大きなリターンを期待できますが、その反面大きな制約をかけられるリスクがあることも頭に入れておくようにしましょう。
株式投資を始めるならオンラインセミナーで基本と実践を学ぼう
株式投資は長期保有を意識することで、短期的な価格変動に左右されることなく冷静に資産を運用できるのが大きなメリットです。
しかし、長期的に株を保有し続けていると、経済の変化による株価暴落などのリスクに立ち向かわなければなりません。
長期保有することによって生じるリスクを最善の方法で回避し、着実に資産を増やしたいのであれば、オンラインセミナーの受講をおすすめします。
「熊谷亮のオンラインセミナー」では、熊谷氏自身がこれまでの株式投資で体験した事例をもとに、株価が下落したときの対処法や長期投資で目標の金額まで資産を増やすための方法を初心者にも分かりやすく解説してくれます。