株式投資における割合調整でリスク管理!資産配分とリバランスの重要性
株式投資は、少額から始めることが可能で、なおかつ銀行の定期預金とは比べものにならないほど大きなリターンを期待できる投資手法です。
近年は年金だけで老後資金を確保できないと言われており、自発的に資産を増やす手段として注目度が高まっています。
株式投資で安定した資産運用をするための考え方の基本となるのが資産配分です。
資産配分の概要から、どのように資産配分をしていけばよいのかを、本記事では解説します。
株式投資の基本と資産配分の重要性
株式投資は企業に対して資金を融資する代わりにその証拠として株式を受け取ります。
株式を保有している投資家はその企業の株主となります。
そして、株式を購入した企業が成長をしたときの利益を配分してもらうことによって資産を増やす投資手法です。
株式は銀行の定期預金や債券、不動産投資などと比べると大きなリターンを得られる手法ではあるものの、経済情勢などに非常に影響を受けやすく、価値の変動が大きいといったリスクもあります。
したがって、リスクを軽減するために複数の資産を保有する資産配分が非常に重要になるというわけです。
資産配分とは何か?
自分の資産をひとつのものだけではなく、複数の資産に分配することを資産配分と呼んでいます。
資産配分をすることで、リスク管理が可能となり、安定したリターンが期待できます。
株式だけではなく、不動産・債券・現金・金などの現物資産など異なる資産に自分の資金を分配しておけば特定の市場が冷え込んだとしても、別の市場でのりカバーが可能となります。
自分の資産の割合を示す指標をポートフォリオと呼んでいますが、適切なポートフォリオを維持できるかどうかが、資産運用を安定化させるための決め手といえるでしょう。
資産配分は投資家自身がどれだけリスクを許容できるか、そして投資する期間や目標金額などに応じて調整しなければなりません。
例えば、リスクを最小限にしたいならば、株式の割合を低くし、現金保有や債券への投資の比率を高めることになります。
逆にリスクをある程度許容できる人は、株式の割合を増やすことが多いです。
株式の割合が重要な理由
ポートフォリオを決めるうえで中心となる資産運用はやはり株式投資です。
株式投資の割合によってポートフォリオ全体のリスクとリターンが決まるといっても過言ではありません。
株式投資は複利効果によって長期的に見るとほかの資産運用手法よりも高いリターンを期待できるため、資産を増やしたいと考える人には最適な投資手法です。
ただし、短期的に見れば価格変動が大きくリスクが高いため、投資する人自身のリスク許容度に応じて適切な割合を設定しなければなりません。
資産配分の基本的な考え方としては、株式をベースにしつつリスクを分散させるために債券や現金、不動産など他の資産も保有しておくことを推奨しています。
株式以外の投資手法はリターンだけを見ればマイナスではあるものの、株式市場が急落したり世界経済が不安定になったとしても、現金や債券などはほぼ影響を受けないため、リスクを大きく軽減させられます。
株式投資の割合を決める基準
株式投資の割合を決めるには、ポートフォリオを作成して、自分の資産がどのような割合になっているのかを知る必要があります。
自分の資産割合を把握しておくことで、適切に株式投資の割合を決めることができ、リスクとリターンをバランスよく保ち、目的に見合った結果を得やすくなります。
株式投資の割合を決める基準については以下で詳しく解説します。
年齢
投資家自身の年齢は、株式投資の割合を決めるうえで最も重要であり、基本的な要素のひとつです。
株式投資は時間をかけて資産を増やす手法であり、年齢によって株式投資に費やせる時間が大きく変わってきます。
20代で株式投資を始めれば、一度資産が大きく減少しても取り戻せますが、60代で株式投資を始めた人が資産を大きく減少させてしまうと、もとに戻すことはほぼ不可能です。
一般的なガイドラインとして、「株式の割合は100から自分の年齢を差し引いた数字」といわれています。
例えば、20歳から株式投資をスタートさせたとして計算式に当てはめると、株式投資における資産の割合は80%となりますが、60歳からスタートさせると適切な株式投資の割合は40%になります。
株式投資の割合をどうするかは、投資家自身が最終的に決めることになりますが、基本的には年齢が上がれば上がるほど株式投資の割合は減少していくことになるでしょう。
リスク許容度
リスク許容度も株式投資の割合を決める要素として非常に重要です。
例えば、株式投資に割り当てている資産を全額失ったとしても生活などにまったく影響を及ぼさないのであれば、ほぼすべてを株式投資に費やして大きなリターンを狙うこともできるでしょう。
一方で資産が減ってしまうのが怖いという人は株式の割合を少なくして債券や現金など、経済情勢に左右されない安全な資産の割合を多くしておくのが無難です。
リスク許容度の考え方としては、自分のライフスタイルも大きな目安となるでしょう。
例えば一人暮らしの人は月々の出費や将来の出費が大きく増えることはないので、株式投資に失敗して資産が目減りしても比較的容易に立ち直れます。
一方、結婚して子育て中の場合は月々の出費が不安定ですし、将来的に教育費など大きな出費が見込まれます。
この時期にハイリスクな株式投資の割合を多くするのはあまりおすすめできません。
投資期間(タイムホライズン)
投資期間(タイムホライズン)も株式の割合を決める重要な要素のひとつになります。
基本的には投資期間を長くする場合は株式の割合を高くしておくことがおすすめです。
株式は短期的には上下したとしても、長期的にみれば成長し、投資したお金よりも資産が増える可能性が高いからです。
例えば株式投資にかける期間を30年に設定できるならば、リスクを受け入れる余裕があるため、株式の割合を高くしても問題ないですし、一度資産が減ってもそのまま保有し続けていればリターンを得られるでしょう。
しかし、株式投資の投資期間を5年以内しか確保できない場合は失敗できないので、資産を守ることを優先して債券や現金を多めに保有しておくことが一般的です。
投資目的
何のために投資するかによっても株式投資の割合は大きく変わります。
株式投資は資産を増やすための手法ですが、資産を増やす目的は人それぞれでしょう。
自分の資産そのものを増やしたいという人は、株式投資の割合を多めに設定しておくことをおすすめします。
株式投資はほかの資産運用と比べると大きなリターンを期待できる投資手法であるため、資産を積極的に増やす目的で資産運用をしているならばもっとも適した手法です。
一方で資産を保全させたり、労働による収入以外の安定した収入を得ることを目的として資産運用しているならば、株式の割合を減らして債券や現金の割合を多くしておくほうが安全です。
特に定年退職後に、年金の不足分を資産運用で補う目的だったり、十分資産を増やしてFIREを達成したあとなどでは、安定性を重視して株式投資の割合を低くする傾向にあります。
市場環境や経済状況
株式投資の割合は常に一定に保つ必要はありません。
市場環境や経済状況が変化すれば、その都度株式投資の割合も変えることをおすすめします。
株式の取引は瞬時におこなえるため、株式の割合を変えたいと思った場合はすぐに変えられます。
自分が保有している銘柄に関連する業種の市場全体が上昇傾向にあるならば、株式の割合を増やすことで積極的にリターンを狙えます。
逆に市場が冷え込み、業界全体が下落傾向にあれば、一時的に割合を減らす必要があるでしょう。
また、金利によっても株式の割合を変えることも有効で、金利が低いときは債券ではあまり利回りが期待できないため、株式で資産を増やすことが適切です。
しかし金利が上昇したときは株式が不安定になることが多く、一方で債券の利回りが上昇するため、株式を減らして債券を増やしておけば安定したリターンが期待できます。
株式と他の資産とのバランスの取り方
株式投資は高いリターンを期待できる投資手法であり、現在でも多くの人が選んでいる投資手法ですが、経済情勢に大きく左右されるため、リスクも大きいという特徴を持っています。
リスクを軽減するという意味でも、株式とそれ以外の資産とのバランスが適切であるかどうかで資産運用の安定度は大きく変わります。
株式とほかの資産とのバランスをどのように取っていけばよいのかを以下で解説します。
資産配分の基本
資産配分では株式以外に債券・不動産・金などの現物資産・現金など異なる資産に分けて投資することで、リスクを軽減しつつ、最大限のリターンを狙います。
例えば株式は市場に左右されやすく、リターンが安定しませんが、債券は市場に左右されることなく安定したリターンを得られます。
現金は使わなければ減ることはないので、安定度は更に高いといえるでしょう。
以上のように、それぞれの資産はリスクやリターンが異なるので、適切Ⅱ分散させることでポートフォークリフト折尾全体が安定します。
資産配分の基本的な考え方としては、リスクを負っても特に問題がない場合は株式の割合を多くすればよいですし、リスクを極力避けたいならば債券や現金の割合を多くするとよいでしょう。
20代または30代から投資をスタートさせ、長期的なリターンを狙うならば株式の割合を7割り程度にして大きなリターンを狙い、一方でリタイア間近の人は株式3割、債券7割にして安定的なリターンを狙うのが一般的です。
株式と債券のバランス
債券は株式投資のリスクヘッジとしてもっとも多く選ばれる投資手法です。
株式では企業の成長度合いによって利益が配分されるため、企業が成長しなかったり、業績が落ち込んでしまったりした場合は利益を得られないどころか減少する恐れもあります。
一方で債券は企業にお金を融資して、その金利を受け取ることで李益を得るので、市場が変化しても安定した李益を得られます。
したがって、株式のリスクを軽減させたい場合は株式だけではなく、一部債券も保有しておくとよいでしょう。
一般的には年齢が上がれば上がるほど債券の割合は上昇していきます。
特に定年退職後に資産運用するときは、資産を増やすというよりも、年金で足りない生活費を補填するという目的で投資する場合がほとんどでしょう。
生活費の補填が目的ならば、安定した利益を得る必要があるため、経済情勢に左右されない債券がもっとも適しています。
株式と現金のバランス
あらゆる資産のなかでも、もっとも安全な資産が現金です。
現金は保有したままであれば絶対に減ることがありません。
そもそも現金がなければ生活できませんし、緊急時に必要となる出費に備えるためにも、一定割合の現金は持っておく必要があります。
株式は長い目で見れば大きなリターンを見込めますが、市場が急激に変動して株価が急落した際に、現金を持っていないと対応できません。
一定の現金を保有しておけば緊急時にも柔軟に対応できます。
ただし、現金を保有していても資産が増えないどころか、近年の物価上昇を考慮すると、数字的には減ってはいないものの、同じ金額で購入できる商品の量は少なくなっていきます。
現金の保有率はリスク許容度や家族構成などにもよりますが、一般的には5%〜20%くらいを現金として持っておき、残りを資産が増える株式や債券などに振り分けます。
しかし、将来的にまとまった出費が見込まれる場合は、一次的に現金の比率を高める必要も出てくるでしょう。
株式と不動産のバランス
不動産も株式投資のリスクを軽減するのに有効な資産のひとつです。
不動産の価格変動は株式市場とは無関係ですし、株式投資のように短期間で大きく変動することはありません。
特に不動産はインフレに強い傾向があり、インフレが進行すればそれに比例して不動産価格の上昇が見込まれるので、インフレに対しての対策としても非常に有効です。
不動産を含めたポートフォリオを構築する場合、一般的には株式・債券・不動産をバランスよく組み込むことが適切とされています。
例えば株式を40%に設定するならば、債券を30%に設定し、残り20%を不動産に分配するというポートフォリオを構築するのがおすすめです。
不動産投資と聞くと、数千万円クラスのお金が必要で、資産が少ない人には手が出せないと思われがちですが、現在では不動産投資信託(REIT)という投資手法があり、少額からでも不動産投資を始められます。
分散投資によるリスク管理
株式投資にのみ資産を集中させると、特定の市場や企業の業績によってポートフォリオ全体に大きな影響を及ぼします。
株式だけではなく、債券・不動産・現金などの異なる資産に分配投資することによってリスクを分散させて、リターンを安定させることが可能です。
また、株式投資をするうえでも特定の業種に集中させるのではなく、複数の業種や地域に資産を分配することをおすすめします。
例えば国内株式と外国株式、成長株と配当株というように、複数の銘柄にバランスよく株式を配分することで、特定の市場や国の情勢変化に左右されることがなくなるため、株式投資のリスクを大幅に軽減できます。
リスク管理のための資産配分の見直し
分配投資は一度おこなえばそれで終了ではありません。
状況に応じてその都度資産配分は見直しする必要があります。
資産配分の見直しをするべき状況について、以下で詳しく解説します。
市場の変動に対応するための調整方法
市場は常に変動し続けており、市場に大きく影響を受ける株式市場は短期的に価格が大きく変わります。
常に安定した市場というものは存在せず、どんな市場でも急落する可能性があると思っておいたほうがよいでしょう。
市場が変動したときには資産配分を見直す必要がでてきます。
例えば株式市場が大きく上昇したときは資産配分を見直しする必要はないと思ってしまいがちですが、株価が上昇するということは、ポートフォリオ内の株式の割合が上昇することになり、ポートフォリオ全体のリスクが高くなる可能性があります。
リスクを考慮するならば、割合が上昇した分を債券や現金に変更するなどして、リスク管理をする必要が出てくるでしょう。
リスクが増えすぎた場合の調整
上記の例と重複しますが、株式市場が上昇トレンドとなり、保有している銘柄の株価が急上昇したり、配当金の利回りがアップするなどした場合はポートフォリオ全体の株式の割合も上昇します。
株式市場の割合が増えるとリスクが増えてしまうので、ポートフォリオにおける株式の割合が想定以上となったときは、資産配分を再調整しなければなりません。
リスクを減らしたいときの選択肢としては、債券がもっとも適切ですが、どの資産にすればよいかわからない場合は、とりあえず株式の比率が想定の数値に戻るまで、利益分を現金に変えて保有しておくとよいでしょう。
リスクが下がりすぎた場合の調整
株式市場が大きく下落し、株価が大幅に下がるとポートフォリオにおける株式の割合が低くなり、資産全体のリスクも比例して下がります。
リスクが下がると安定度は増しますが、その分想定していた成長が期待できなくなるので、割合が減少した分の株式を買い増しするなどリスクを戻す対策が必要となるでしょう。
しかし、株式の買い増しをする際は慎重に行う必要があります。
株式市場が下落しているときに株式を買い増すのは有効な手段ではあるものの、買い増した株式が下落してしまっては無意味です。
購入予定の株式が成長するかどうかを見極めてから買い増すようにしましょう。
定期的なリバランスの重要性
当初設定した資産配分を維持する目的で、ポートフォリオ内の資産を売買して調整することをリバランスと呼んでいます。
資産配分は何もしていなくても時間や市場の変化によって変わってしまうため、定期的にポートフォリオ内の資産配分を確認し、リバランスを行うことが重要です。
リバランスを適切に実行することでリスクを一定に保ち、長期的な投資の成功率が大きく上昇します。
株式投資を始めるならオンラインセミナーで基本と実践を学ぼう
ここまで株式投資における分配投資について解説しました。
基本的な考え方としては、リスクを許容できる人、株式投資に多くの時間を割ける人は株式の割合を多くして、リスクが怖い人、株式投資にあまり時間をかけられない人は株式の割合を低くして、債券や現金などの比率を多くするとよいでしょう。
ただし、最適な分配投資は人によって異なります。
資産配分をはじめ、株式投資についての知識を得たいならば、一度オンラインセミナーを受講してみることをおすすめします。
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熊谷氏に直接質問もできるので、適切な分配資産についても聞くことができるでしょう。