株式投資における円安のメリットとは?覚えておきたい投資戦術も解説

2023年末ごろから、円安が止まらないことがニュースでも取り上げられていました。

2024年に入っても円安は止まらず、2024年6月初旬は156円台を推移しています。

円安を止めるため、日銀は市場介入して巨額のドル売り・円買いをしましたが、止まる気配は全くありません。しばらくは円安を想定して投資をする必要がありそうです。

円安になると、株式投資ではどのようなメリットが生じるのかについて、本記事は解説します。

目次

円安とは?

円安とは、他の国の通貨と比べて日本円の価値が下がった状態のことを指します。

一般的にはドルに対して円の価値が下がっているときに、円安になったとニュースになることが多いです。

具体的には、1ドル100円だったものが1ドル120円になったときに、円安になったと表現されます。

円安が起こる要因としては、主に「海外と比べて日本の経済が低迷している」「日本の金利が他国に比べて低い場合」が挙げられます。

現在の円安の要因はまさにこのふたつが要因となっており、特に海外と日本の金利差が大きいことがこれまでにない円安になっている最大の原因です。

逆に円高とは、海外の通貨と比べて円の価値が上昇している状態を指し、1ドル100円だったものが1ドル90円になったときは円高になったと表現されます。

円高になる要因は円安とは真逆で、「日本の経済が海外と比べて成長している」「日本の金利が他国と比べて高い場合」に円の価値が上昇します。

円安のメリット


円安は円の価値が下がるので、日本にとってはあまり良くないように思われがちですが、実は円安になることによって生じるメリットもいくつかあります。

円安になった際にはどのようなメリットがあるのでしょうか。

輸出する企業は利益を得やすい


円安は円の価値が下がるので、日本にとってはあまり良くないように思われがちですが、実は円安になることによって生じるメリットもいくつかあります。

円安になった際にはどのようなメリットがあるのでしょうか。

観光客が日本に多く訪れる

円安になり、海外通貨の価値が円に対して上昇すると、同じ価格でより多くの日本製品や日本国内のサービスが利用できることも合って、海外からの観光客が日本に多く訪れるようになります。

コロナ禍によって一時期はほとんど海外からの観光客が訪れない状態でしたが、2023年は2,500万人超の観光客が日本を訪れ、海外からの旅行者の消費額は5兆2,000億円超と、過去最高を記録しました。

2024年も引き続き円安傾向が続いており、さらなる観光客数の増加が見込まれます。

海外資産の価値が上昇する

資産運用に関してのメリットとしては米国株など海外資産の上昇が挙げられます。

例えば、新NISAをやっている人で、「S&P500」や「オールカントリー」を所有している人も多いですが、これらの投資信託は海外企業がメインとなっているため、円安になれば想定的に価値が上昇します。

日本国内の製造業が活発になる

円安になると、海外でモノ作りをするよりも、日本で製造したほうがコストは安くなります。

国内外両方に工場を持っている企業は海外での製造よりも日本国内での製造量を増やすようになり、結果的に日本国内の製造業全体が活発になります。

実際に少しずつではあるものの、コ国内回帰する事例は出てきており、更に円安が進めばこの動きは顕著になるでしょう。

円安のデメリット

輸入品の価格が上昇する

円安になることによる最大のデメリットは、輸入品の価格が上昇することです。

日本はモノを作る能力には長けていますが、モノを作るための材料やエネルギーに恵まれていません。

したがって、外国から原料を輸入しなければモノ作りができないというのが現状です。

輸入コストが上昇すると、その分モノを作って売却した際に得られる利益は圧迫されることとなります。

生活するうえでの出費が増える

円安になると企業の利益が圧迫されることは先に解説した通りです。

製造コストが上昇して利益が圧迫されてしまう状態が続けば、企業そのものの運営自体に大きく影響します。

企業が経営を維持するには販売価格を上昇させるしかありません。

すると、私たちが生活するうえで日用品や食料品などを購入する歳の出費が増えてしまいます。

ここ数年物価上昇が大きな話題となっており、実感として感じている人も多いでしょう。

あらゆるモノの値段が上昇しているのは、円安によって原材料費やエネルギーの購入費が上昇しているためです。

円安が株式投資に与える影響について

円安になった際、株式投資にはどのような影響を及ぼすのでしょうか。

日本株式と米国株式、そして投資信託でそれぞれ見ていくことにしましょう。

日本株式

日本株式は輸入をメインとしている企業と輸出をメインとしている企業で明暗がはっきりと分かれます。

輸出をメインにしている企業であれば、海外からの注文が増えるため業績が好調となり、株価は上昇します。

一方で輸入をメインとしている企業は材料費やエネルギーを調達する際のコストが上昇するため業績が悪化し、株価は下落する恐れがあります。

米国株式

米国株式に関しても日本株式とは真逆の動きをします。

米国で輸入をメインとしている企業の場合、日本で作ったモノを仕入れる価格が円安によって安くなると、同じドルでたくさんの日本製品を購入して販売できるため業績が上昇し、株価も上昇します。

逆に米国で輸出をメインとしている企業の場合、日本円でモノを買ってもらえてもドルに替えた場合に利益が圧迫されるため業績が下がり、株価が下落する可能性があります。

投資信託

投資信託はプロの投資家に資産運用を一任する投資方法で、基本的に複数の株式商品がまとめられてひとつの商品になっています。

円安が投資信託にどのような影響を与えるかは、その商品の構成によって大きく変わります。

基本的に海外の企業をメインとしている投資信託や輸出がメインとなっている国内企業がまとめられた投資信託商品であればその価値は上昇するでしょう。

一方で輸入企業がメインとなっている投資信託は価値が下落する可能性が高いです。

円安で得しやすい業種と損する業種

円安で得する業種を知れば、その企業の株を購入することで大きな利益を得られるチャンスがあります。

円安によって特をする業種の筆頭格と言えば自動車産業ではないでしょうか。

日本の自動車はまだまだ海外ではとても需要があります。

日本の自動車産業のトップ企業はトヨタ自動車ですが、トヨタ自動車の場合、1円円安になると営業利益が450億円上昇するという試算結果が出ています。

そして、自動車産業が好調になるということは、自動車を構成している自動車部品を製造している企業も円安では業績がアップします。

自動車産業以外で円安になると業績がアップする業種としてチェックしておきたいのが観光業界です。

円安になると同じ費用でたくさんの日本の商品を購入できたり、サービスを利用できたりするので多くの外国人が日本を訪れ、ホテルなど観光に関する業種には追い風になるため、これらの銘柄を購入しておけば株価は大きく上昇するでしょう。

逆に円安で損をする企業とは、実は飲食業です。

飲食業で料理を作る際に使う食材の多くは輸入に頼っているため、円安になると食材を仕入れるコストが上昇します。

更に調理をするときに使う油・ガスも輸入に頼っているため円安になると、飲食業はすべての面でデメリットが生じるため利益が非常に出づらくなります。

したがって円安になった際は、飲食関係の企業の株は買わないほうが懸命です。

そのほか、服飾関係や繊維業、石油や油類を取り扱う企業も円安では不利になりやすいと言われています。

円安時に覚えておきたい株式投資戦術

輸出関連株の選定

円安時には輸出関連株に注目が集まります。

特に自動車メーカーや電子機器メーカーなど、海外売上比率の高い企業の株を選定することが重要です。これらの企業は、円安により製品の価格競争力が向上し、海外市場での売上が増加するため、収益の拡大が期待されます。

例えば、トヨタやソニーといった大手輸出企業は、円安の恩恵を受けやすい典型的な例です。これらの企業の業績や市場動向をチェックし、投資先として検討することが推奨されます。

外国株の投資

円安を活かして、外国株に投資することも一つの戦略です。

円安により、外国株が割安に感じられるため、ドル建てやユーロ建ての株式を購入することで、為替差益を狙うことができます。特にアメリカや欧州の優良企業の株は、長期的な成長が見込めるため、安全かつ効果的な投資対象となります。

具体的には、AppleやGoogleといったテクノロジー企業、またはNestléやUnileverといった消費財企業が挙げられます。

為替リスクのヘッジ

円安に伴う為替リスクをヘッジするために、為替ヘッジ付きの投資信託や外貨建ての金融商品を活用することが有効です。

これにより、円安による利益を確保しつつ、為替変動によるリスクを最小限に抑えることができます。

また、FX(外国為替証拠金取引)を利用して為替リスクをヘッジする方法もありますが、高リスクであるため、十分な知識と経験が必要です。慎重にリスクを評価し、適切なヘッジ手段を選択することが重要です。

円安時の株式投資に関するよくある質問

Q1. 円安時にはどのような株に投資すれば良いですか?


A1. 円安時には、輸出関連株や海外売上比率の高い企業に投資することが効果的です。特に、自動車メーカーや電子機器メーカーなどが注目されます。これらの企業は、円安により製品の価格競争力が向上し、海外市場での売上が増加するため、収益の拡大が期待されます。

Q2. 円安の影響を受けやすい業界は何ですか?

A2. 円安の影響を最も受けやすいのは、輸出依存度の高い製造業です。一方で、輸入コストが増加するため、輸入依存度の高い業界も影響を受けやすくなります。具体的には、エネルギーや原材料を多く輸入する企業が含まれます。

Q3. 円安時の投資戦略で注意すべき点は何ですか?

A3. 円安時の投資戦略では、為替リスクの管理が重要です。為替ヘッジ付きの投資信託や外貨建ての金融商品を利用してリスクを最小限に抑えることが推奨されます。また、ポートフォリオの分散もリスク管理の一環として有効です。

Q4. 円安が続くと考えられる時期にはどのような経済指標に注目すべきですか?

A4. 円安が続くと考えられる時期には、日本銀行の金融政策、アメリカの金利動向、そして国際的な貿易収支に注目することが重要です。これらの指標は、円の価値に大きな影響を与えるため、定期的にチェックすることが投資判断に役立ちます。

Q5. 円安の影響を最小限に抑えるためにはどのような投資先を選ぶべきですか?

A5. 円安の影響を最小限に抑えるためには、為替リスクを分散できる投資先を選ぶことが重要です。

例えば、外国株や為替ヘッジ付きの投資信託、外貨建ての債券などが考えられます。また、国内の内需型企業やサービス業なども、為替変動の影響を受けにくい投資先として有望です。

まとめ


円安とは、海外の通貨と比べて円の価値が下がることを指します。

円安になると日本で作られたモノやサービスをたくさん利用できるようになるため、日本のものを沢山買ってくれたり、海外から多くの観光客が訪れるというメリットがあります。

株式投資に関しては、国内の産業だと自動車産業、観光産業の株価が上昇しやすくなるので、これらに関する企業の銘柄を多く購入すると良いでしょう。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次