株主優待とは?メリット・デメリットと代表的な銘柄を徹底解説!
2024年から新NISAがスタートし、それをきっかけに今まで投資に興味を持たなかった世帯が続々と個人株主デビューを果たしています。
株式投資の魅力は保有または売り買いすることで財産を増やせることですが、もうひとつ忘れてはならないのが「株主優待」の存在です。
テレビなどでは株主優待のみで生活をほぼ賄っている人もおり、非常にお得な制度だと世間では認識されています。
株主優待とはどのような制度なのか、更にはメリット・デメリットを解説します。
株主優待とは?
株主優待とは、企業の株を所有している株主に対して、企業側が自社で製造している商品や提供しているサービスなどを提供する制度です。
提供頻度は年1回ないし2回で、株主優待制度を導入するか否かは企業が任意に決められます。
実際に利用できる現物を受け取れるということもあり、株主優待は特に個人投資家からとても人気があります。
少し古い情報ですが、2021年時点では上場している約3,800社のうち約半数近い1,500社が株主優待を導入しており、その数は年々増加しています。
株主優待でもらえるもの
株主優待の利用を検討するうえでもっとも気になるのが、もらえる商品やサービスの内容ではないでしょうか。
株主優待でもらえるものは実に多岐にわたります。
食品会社であれば自社で製造している食品をもらえますし、店舗を出している場合は割引券やサービス券がもらえることもあるでしょう。
テーマパークならば割引チケットや施設内で使えるサービス券、そのほか金券やお米、カタログギフトをもらえて好きな商品を選べる株主優待まであります。
株主優待の内容を見て銘柄を決めるのは、株主優待目当てで株を購入するときの醍醐味だといえるでしょう。
株主優待の条件を満たすには?
株主優待は制度を設けている株を保有している人にのみ提供しているため、受け取るには条件をクリアしなければなりません。
株主優待を受け取るための条件は以下の通りです。
- 株主優待を受けたい企業の株を定められた株数保有していること
- その株を権利付確定日まで保有していること
株は1株から買えるところもありますが、株主優待は1株だけ保有しても受け取れません。
どれだけの株数を保有すれば株主優待を受けられるかは企業によって異なりますが、100株を最低ラインに設定している企業が多いです。
そして、購入す流だけではなく、その株を権利付確定日まで持ち続けなければなりません。
株主優待のメリット
先ほど触れた通り、上場企業だけを見ても、株主優待を設ける企業は増加傾向にあります。
株主優待を設けることで株主側と企業側にそれぞれどのようなメリットがあるのかを解説します。
株主側のメリット
投資したお金に利息がつくだけではなく、モノやサービスなどといった現物として支給されるのが株主優待最大のメリットです。
優待を受けることで企業に対する満足度が高まり、その企業のことを深く知るきっかけになります。
そして、投資する企業に興味を持つことは、投資を成功させるうえで必要不可欠な要素です。
企業側のメリット
株主優待は自社に興味を持ってもらうきっかけづくりとして非常に有効です。
自社の商品やサービスを株主優待にすれば原価に近い価格で提供できるので、広告費のコストを下げる効果もあります。
優れた株主優待を提供する企業には資金が集まるので、会社の運営を円滑に進められるというメリットも得られるでしょう。
株主優待のデメリットとは?
株主優待は個人株主にとって嬉しい制度であることは間違いありませんが、個人株主全員が歓迎している制度ではありません。
また、株主優待があるからこその弊害もあります。
株主優待目的で株を保有するならば、デメリットについても理解しておく必要があります。
株主側のデメリット
株主優待は無料で提供できるわけではありません。
その分経費が発生します。
したがって、同じ規模の企業ならば株主優待ありの企業となしの企業とで得られる利息は変化するでしょう。
とにかく資産を増やしたいと考えている人からすれば、企業利益を圧迫する要因となる株主優待は邪魔なだけです。
現物支給される株主優待は、投資初心者もお金を投資して得をしたという実感が湧きやすい制度です。
その一方で株主優待の内容ばかりに気を取られてしまい、企業の実態を調査しないまま株を買って損をする可能性もゼロではありません。
企業側のデメリット
株主優待を提供するには一定のコストがかかります。
あまりにも利益を圧迫するようであれば、株主優待を停止せざるを得ません。
すると株主優待目当てで株を保有していた人は一斉に株を手放します。
一気に売られると株価は暴落し、企業の経営にも悪影響を及ぼすことになるでしょう。
銘柄選びで注意しておきたいこと
株主優待目的で株を保有する際に注意しなければならないポイントを3つ紹介します。
どれもおろそかにすると思わぬ損失を被る可能性があるので、常に意識しながら投資する企業を選ぶようにしてください。
株主優待は利益が出たときにもらえるものと認識する
株主優待は必ずもらえるものではありません。
言うなれば、企業側から株主に対するボーナスのようなものです。
株主がお金を投資し、そのお金を元に企業が会社を運営して利益が出たことに対するお礼なので、利益が出なかったり、赤字になってしまった場合は当然株主優待は支給されません。
また、株主優待を始めるのも辞めるのも企業側の自由です。
株主優待目当てで株を買った途端に株主優待を辞めるといったケースも当然考えられます。
優待内容に騙されない
お得な株主優待は多くの個人株主に注目されます。
ですが株主優待だけが豪華で実は企業の内情は目も当てられないほど悪い、といった可能性もゼロではありません。
株主優待だけで企業を判断せず、自己資本比率や業績など、企業の実態を調査したうえで株を購入するか判断しましょう。
損切りする条件を決めておく
株主優待がある株は現物支給されることから、株価が大きく下がっても支給されるモノやサービスに目がくらんで冷静な判断ができないものです。
しかし株主優待はあくまでもおまけであり、保有している株でいかに資産を増やすかが、株式投資ではもっとも重要であることに変わりありません。
株主優待の価値に関わらず、損切り(損失が出ても持っている株を売ること)するラインをあらかじめ決めておくと迷わずに済みます。
権利付確定日以降の株価に注目する
権利付確定日まで株を保有していればめでたく株主優待を受け取れるわけですが、権利付確定日以降の株価には注目しなければなりません。
権利付確定日を過ぎると、株主優待目当ての個人株主からの売り注文が殺到し、株価が値下がりしやすいからです。
その後再び買い注文が出て株価が戻ればよいですが、業績がよくない企業の場合は下がったまま戻らないこともあります。
株主優待を受け取ったのち、そのまま保有し続けるか、それとも売ってしまうかは事前に決めておいたほうか良いでしょう。
まとめ
株主優待は企業の株を保有している株主がその企業が提供しているモノやサービスを受け取れる制度です。
株主優待は年1回または2回支給され、制度の導入や廃止は企業側が自由に決められます。
個人株主にとって、株主優待は現物が受け取れるということもあり、お得感を実感しやすいですし、企業側もローコストで企業アピールできるというメリットがあります。
その一方で株主側も企業側も株主優待に影響を受けやすく、思わぬ損害を被るデメリットがあることも頭に入れておいてください。
株主優待はあくまでもおまけという認識で購入する銘柄を決めるとよいでしょう。
株主優待の内容に左右されず、企業の現状を調べて株を買えば、大きな失敗をすることはありません。