新NISAの必要性とは?国が投資を薦める理由を分かりやすく解説

新NISAが始まろうとする2,023年ごろから、日本政府は「貯蓄から投資へ」というスローガンを掲げ、投資を推奨するようになりました。

これまでの日本では国が投資を推し進めることはありませんでしたが、なぜ旧に投資を国が薦めるようになったのでしょうか。

本記事では国が新NISAや株式投資など投資を薦める理由を解説します。

目次

今までの日本の資産形成

他国との資産形成を比較すると、日本は現金の保有率が高いと言われています。

日本銀行の調査によると、日本の資産形成率は現金が半数以上になっているのに対し、アメリカではわずか12%しか現金で保有していません。

その代わり株式や投資信託など、資産運用しているお金の比率が日本とは比べものにならないほど高いです。

海外では個人が資産運用するのはごく当たり前のことで、日本のように現金でずっと持ち続けているのはむしろレアケースだと言えるでしょう。

しかし、これまでの日本ならば、現金でお金を持ち続けていても資産形成は十分できていました。

なぜ現金で持ち続けるだけで資産形成できていたのか、その理由を3つ紹介します。

銀行に預ければお金が増えていた

経済が成長していた頃の日本は、銀行の金利が非常に高い状態でした。

特にバブル経済期の1980年代後半は、年利5%という、今では考えられないような金利となっていました。

一人暮らしの人なら、6,000万円も預ければ金利だけで生活できていたことでしょう。

貯金がなくても定年まで働けば老後は暮らしていけた

また、極論をいえば貯金をする必要すらありませんでした。

定年まで働けば、老後は過不足なく生活できる年金が支給されるからです。

アメリカは株式などの投資にお金を多く回していることは先ほど解説しましたが、アメリカが投資を重要視しているのは日本のような年金制度がないからです。

手厚い年金制度のおかげで、仕事を辞めて収入がなくなった時のことを考える必要がありませんでした。

したがって、貯金や投資について真剣に考える人がほとんどおらず、入った収入をすべて使ってしまうという人も多かったのです。

成長する余地が十分あった

銀行の金利が高かった頃は、日本のトップ企業が世界に大きな影響を与えていました。

企業の世界的価値を表した「世界時価総額ランキング」の1989年度番を見ると、トップ50のうち実に32社が日本企業となっています。

このランキングを見ると、いかに日本の経済が好調だったかが分かります。

労働力も充実しており、この時期の日本はまだまだ成長する余地がありました。

今の日本は昔とは大きく違ってしまった

日本政府が「貯蓄から投資」をなぜ推奨しているかというと、現在の日本は世界が脅威に感じていた頃の日本とは大きく変わってしまい、今までのような資産形成では通用しなくなってしまったからです。

貯金だけで資産形成が成り立たなくなってしまった理由は大きく挙げると4つあります。

銀行にお金を預けてもお金がほとんど増えない

バブル期の銀行では、普通預金にお金を預けるだけで年数%の利息がありましたが、現在は銀行にお金を預けてもお金はほとんど増えません。

普通預金の金利は2,024年現在たった0.02%、普通預金と比べると利息がかなり高い定期預金ですら、利息は1%以下です。

定期預金は元本割れしない以外にほぼメリットはない資産運用となっています。

定年後の年金だけでは生活できない

経済が絶好調だったバブル期あたりまでは、定年まで働けば悠々自適な老後が約束されていましたが、現在では年金だけでは普通の生活をすることすら困難になっています。

お金がなくても老後まで頑張れば安泰といった時代ではなく、現役世代の間に老後の生活資金もある程度貯めておかなければなりません。

生活費プラスもしもの時のお金に加えて老後のお金も貯めるとなると、貯金だけでは賄えないため、資産運用の必要性が高まっているのです。

少子高齢化でこれからの日本は衰退化することは避けられない

日本が現在抱える最も深刻な問題が、少子高齢化です。

企業の影響力は努力次第で改善できますが、少子高齢化は現時点で改善したところで効果が現れるのは少なくとも数十年後です。

しかも若い人たちの結婚願望は、以前と比べるとかなり低くなっています。

少子高齢化は改善するどころか今後ますます悪化していく可能性が高いのが現状です。

少子高齢化は現役世代の減少を招き、日本の国力低下が更に進行します。

円の価値が実質低下している

ここ数年物価上昇が止まらず、日々の生活費の捻出に頭を悩ませている人がとても多いです。

物価上昇の要因は世界情勢による燃料価格の高騰なども要因の一つですが、円そのものの価値が以前と比べてかなり低下しているのも大きく影響しています。

円の価値を調べるには1ドルが何円になっているかを見るのが1番ですが、数年前まで1ドルは120円代だったのが、2024年6月時点で160円代にまで円安が進行しています。

お金を貯めるのではなく増やさなければならない

銀行にお金を預けても全然増えないうえに、円の価値が相対的に低下しているということは、これまでのように銀行や自宅で貯めているだけではお金は増えません。

それどころか物価上昇に伴ってこれまで100円で買えたものが数年後は110円出さないと買えなくなっており、実質現金での資産は年々減っているのが現状です。

資産形成するためには必然的にお金を積極的に運用して自発的に増やしていく必要があります。

投資初心者に新NISAはとても適した制度

日本政府が投資を推し進めるために設けた制度である新NISAは、投資初心者にとても適した制度です。

資産運用の一般口座では、年間20万円以上の利益が出た場合、税金を支払わなければなりませんが、新NISAでは1,800万円まで非課税となっています。

また、新NISAで購入できる商品は金融庁が安全と定めたものに限定されるので、比較的リスクも小さいです。

新NISAでは積み立て投資枠のインデックスファンドを買い続けよう

新NISAには成長投資枠と積み立て投資枠があり、それぞれ購入できる商品が異なります。

積み立て投資枠では投資信託商品しか購入できませんが、成長投資枠では投資信託・国内外の上場企業の株式などさまざまな商品を購入できます。

新NISAでは1,500種類以上の商品を取り扱っているので、投資をこれから始める人の中には、どの商品を買えばよいか分からないという人もいるのではないでしょうか。

成長投資枠のみで購入できる商品は大きなリターンが期待できる分リスクも大きいですし、価値の変動をこまめにチェックしなければなりません。

投資初心者は積み立て投資枠から投資をスタートさせることをおすすめします。

積み立て投資枠は投資信託しか買えないため、商品を選びやすいです。

購入する商品に迷っているならば「インデックスファンド」を推奨します。

インデックスファンドとは、「東証株価指数」や「ナスダック」のような株価指数に連動して価値が上下する投資信託です。

大企業をメインに投資しているため、安定した成長が見込めます。

新NISAが広まるにつれて引き起こされる弊害とは

今までとは大きく変わってしまった現在の日本の状況を理解すれば、新NISAを使って投資を始めることをなぜ推奨しているのか理解できたのではないでしょうか。

新NISAの導入が始まった2024年1月だけでも約1兆8,000億円の買付があり、この金額を見るだけでも、多くの人が新NISAのスタートをきっかけに投資を始めていることが分かります。

日本政府が推進している「貯金から投資へ」という意識改革は着実に浸透していると言えるでしょう。

しかし、このまま家庭で蓄えているお金がどんどん投資に回されると、日本にとってあまり良くない状況になってしまう恐れがあります。

新NISAの買付のうち、過半数は投資信託となっています。

投資信託商品で特に人気なのは、「S&P500」と「オールカントリー」なのですが、S&P500はアメリカの主要企業、オールカントリーもアメリカを含む先進国メインに投資する商品です。

つまり、これまで蓄えられていたお金はどんどん海外の企業へと流出しているのが現状です。

一方で日本株はバブル崩壊やリーマンショックなどによって大幅に下落した過去があります。

更に先ほど触れたように日本そのものの成長が期待できないことから、積極的に買おうと動く人は少ないのが現状です。

このまま更に投資への動きが加速すれば、海外へ流出するお金はますます増えていくでしょう。

海外の企業だけがどんどん発展し、日本の企業は資金を集められずに衰退してしまう未来になる可能性もゼロではありません。

しかし、未来のことは誰にも予測できないため、日本が独自に革新的な技術を開発すれば再び世界に大きな影響力を与える可能性は十分あります。

新NISAで安定した資産運用を継続するには、日本を含めた世界経済の動向にも注目するようにしましょう。

まとめ

日本政府が国民に貯金ではなく投資を推奨する理由は、日本そのものがこれまでとは大きく様変わりしてしまったからです。

これまでの日本は経済方面で世界に対して大きな影響力を持っており、成長する余地もありました。

銀行にお金を預けるだけで勝手にお金が増えるほど金利も高く、無理に貯金せずとも定年まで働けば、老後は十分生活していくだけの年金をもらえていたのです。

しかし現在は世界のトップ企業はほぼアメリカ企業となって日本企業の影響力は大幅に低下、更に少子高齢化によって成長する見込みもほとんどありません。

物価は上昇しているにも関わらず、年金支給額は変わらないどころか減少しているため、年金だけで過ごすことも難しくなりました。

また、銀行の金利も非常に低く、預けるだけではお金が増えません。

物価はこれから更に上昇し、年金額も少子高齢化によって減少していくことでしょう。

これからの日本でお金に不自由なく生きていくためには、お金を貯めるだけではなく、投資して増やさなければならないのです。

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