S&P500絶好調の理由とは?下落の可能性はある?
2024年に入り、米国株が非常に好調な値動きを見せています。
特にS&P500はずっと10%以上の収益率を見せており、7月に入ると収益率は13%を超え、過去最高水準になるのではという見方もあります。
本記事ではS&P500をはじめ、米国株の収益率が絶好調となっている理由と、これから大幅に下落する可能性はあるのかについて解説します。
S&P500とは?
S&P500とは、アメリカの代表的な株価指数のひとつです。
株価指数は取引所全体の株価の値動きを示すものであり、株価指数の値動きはそのままその国の経済状況を表しているといってもよいでしょう。
S&P500は1923年にスタートしましたが、スタート当時は233銘柄で構成されていました。
その後、1957年より現在のような500銘柄で構成される株価指数となっています。
S&P500を構成している銘柄はニューヨーク証券取引所やナスダックに上場している企業のなかでも厳選された500企業となっており、S&P500に選出された企業はアメリカ国内のみならず世界に大きな影響力を及ぼす企業であるといえるでしょう。
アメリカの経済動向は世界経済に多大な影響を与えます。
S&P500を構成している企業はアメリカのトップ企業であるため、S&P500の動向を見れば世界経済全体の動向を把握できるといっても過言ではありません。
S&P500上位10銘柄を紹介
S&P500はアメリカ国内でもトップクラスの企業で構成されていますが、その中でも上位10企業は世界的に大きな影響力を及ぼす企業ばかりです。
S&P500の構成銘柄のうち、上位10企業を紹介します。
ちなみに、S&P500のトップ10企業は1年に1回見直しが実施されます。
2024年に実施された見直しでは以下の銘柄がトップ10から除外されました。
- テスラ
- ユナイテッドヘルス・グループ
- ジョンソン・エンド・ジョンソン
- ケンビュー
テスラがトップ10から除外されたのはなかなか衝撃的ではないでしょうか。
逆にトップ10に追加されたのは以下の3銘柄です。
- イーライリリー
- ブロードコム
- JPモルガン・チェース・アンド・カンパニー
情報技術
S&P500を構成する上位10社のうち、もっとも比率が高いのは情報技術系の企業です。
上位10社のうち、情報技術に該当する企業は以下4社となっていました。
- マイクロソフト
- アップル
- エヌビディア
- ブロードコム
マイクロソフト・アップルは使ったことがない人はいないと言い切っても過言ではないほど私達の生活には欠かせない企業です。
エヌビディア・ブロードコムは半導体メーカーであり、IT化が目覚ましい現在欠かせない企業といえるでしょう。
ちなみにこれら4企業でトップ10指数の60%近くを占めています。
コミュニケーション・サービス
S&P500を構成する10銘柄のうち、「メタ・プラットフォームズ」「アルファベット」はコミュニケーション・サービスにカテゴライズされます。
メタは元Facebookで、利用している人も多いのではないでしょうか。
アルファベットもインターネットコミュニケーションを提供している企業であり、SNS隆盛の現代には必要不可欠な企業です。
その他
上記2カテゴリ以外だともっとも有名なのはネットショッピングを提供しているAmazonがトップ10銘柄となっています。
バークシャー・ハサウェイ、JPモルガン・チェース・アンド・カンパニーは金融企業で、の海苔1銘柄はヘルスケアのイーライリリーです。
S&P500をはじめとする米国株が好調な理由
S&P500を始めとする米国株が2024年上半期ここまで好調な理由はさまざまですが、大きく以下の3要素の影響が大きいと言われています。
これらのプラス要因が継続し続ける限り、米国株は安定した収益が見込めると考えてよいでしょう。
アメリカは労働人口が増えて積極的な消費活動が見られる
日本では急速な少子高齢化が大きな問題となっていますが、アメリカは先進国のなかでは珍しく未だに人口が増え続けている国で、労働人口も人口増加に比例して増え続けていくことでしょう。
人口が増えればそれだけ消費も増加し、消費活動が活発になるので企業の生産力もどんどん向上するため、今後もアメリカ企業は堅調な成長を続けることが見込まれるため、米国株はどんどん買われ。株価が上昇するのです。
政府などが大規模な金融政策を実施した
アメリカでは経済が危機に陥ったときに大規模な金融政策が実施され、株価の大きな暴落を度々沈静化させた経緯があります。
アメリカは経済が好調なうえに政府がいざというときに大胆な行動で経済を救ってくれるという実績があるため、安心感をもっている個人投資家がとても多いです。
アメリカ企業を牽引するテクノロジー分野が急成長している
S&P500を構成するトップ10企業を見ると、インターネットやITなどテクノロジー関連の企業が大部分を占めています。
テクノロジー分野は今後もさらなるIT化が促進されることは間違いないですし、更にAIの急速な発展も期待されています。
テクノロジー分野は今後も成長を続けることが確実であり、テクノロジー分野の成長は同時にアメリカ経済そのものの成長も見込まれるため、米国株は非常に人気が高いのです。
米国株が下落すると言われている主な理由
2024年7月時点では非常に好調な米国株ですが、この状態がいつまでも続くことはありません。
専門家によっては今年の後半以降、米国株は大きく下落するといわれています。
米国株が下落すると懸念されている理由を4つ紹介します。
金利上昇や金融引き締めの影響
アメリカ経済が好調なのは先に触れた通りですが、好調な経済を超える勢いでインフレが進んでおり、大きな問題となっています。
インフレを抑えるため、アメリカ政府は大規模な金融引き締めを実施しました。
しかし金融引き締めをしてお金を貸し渋ると、経済が停滞するという副作用が発生します。
引き締めの期間が長くなれば、それに比例して経済も停滞し、米国株は勢いを失って下落する恐れがあります。
地政学的影響
2024年現在、世界情勢はかなり不安定です。
ロシアとウクライナは未だに戦闘中ですし、イスラエルとパレスチナの戦いにイランが参戦する恐れも浮上しています。
日本近隣だけを見ても、北朝鮮の動きは不気味ですし、中国は国内の経済が不安なことから、台湾へ攻め込むのではとの声も挙がっています。
特に中東情勢は原油価格に直結するため、アメリカのみならず、世界の経済に悪影響を与えることは避けられません。
大統領選の行く末
2024年に大統領選が行われます。
バイデン大統領と返り咲きを狙うトランプ氏との支持率はほぼ互角ですが、どちらかといえばトランプ氏が優勢といわれています。
バイデン大統領が再選すればこれまでの政治を継続するでしょう。
しかしトランプ氏が大統領になった場合はアメリカ経済の行く末がまた大きく変わる可能性があります。
トランプ氏はウクライナへの支援をしないと公約しており、ロシアとウクライナの情勢が大きく変化することは明白です。
トランプ氏再選によりアメリカ経済の行く末が大きく変わるのは明白で、
その影響を受けて米国株が大きく下落することが懸念してされています。
中国経済の悪化
数年前まで中国は急激な経済成長を遂げ、その勢いはアメリカに匹敵するのではと予想されるほどでした。
しかし近年、中国経済は急速に悪化しており、危機的状況に陥っています。
事の発端は不動産バブルの崩壊で、日本がかつて経験したバブル崩壊と状況は同じです。
中国は世界第2位の人口を抱える国ということもあり、中国経済の悪化はアメリカのみならず全世界に悪影響を与えます。
米国株も例外ではなく、中国経済の悪化による株価下落が懸念されています。
まとめ
米国株、特にS&P500は2024年になって10%以上の高い収益性を維持し続けています。
S&P500はアメリカの上位企業500社で構成された株価指数であり、特に10銘柄はアップル・マイクロソフトなど名だたる企業ばかりです。
S&P500をはじめとする米国株の収益率が高水準を維持し続けている理由は主に以下の3つです。
- 先進国でありながら人口が増加し、労働人口も増加するため経済成長も期待できる
- 危機的状況になるとアメリカ政府は大胆な金融政策を実施するため信頼性が高い
- アメリカ経済の強みのひとつであるテクノロジー産業は将来的に成長が見込める
上記のような状況が継続される限りは米国株は校長を維持し続けるでしょう。
ただし、世界情勢の不安定さなど、アメリカ経済が衰退する可能性もあり、それらの盈虚が顕著になれば、S&P500をはじめとする米国株も一気に下落する恐れがあります。